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中央管理室・防災センターの設置基準について

たまに、検査・調査作業中に「中央管理室はどちらですか?」と他業者の方々に聞かれることがございます。

防災センターという呼び名は聞きなれているのですが、中央管理室という呼び名はあまり聞きなれないのが現状です。

そこで、今回は私共が日々行っている定期報告の内容とは少し異なっている感じではありますが、検査・調査の際には出入りさせていただいているのが現状なので、知識を深める観点からも、中央管理室防災センターの違いについて調べてみました。

実際には2つは全く違うものでした。

中央管理室は建築基準法上の必要な設備であり、非常用のエレベーターや排煙設備、空気調和設備の制御等の監視を行う役割を担っています。

それに対し、防災センターは消防法上の必要な設備であり、消防設備等の監視や操作等を行う室のことを指しています。

しかしながら、近年は効率的な運用等、複雑な事情があり今日現在、お互いの役割を兼ねて運用されている施設も増えてきているのが現状です。【防災センターの設置場所については、守衛室やその他これらに類する場所(管理人等、常駐している場所)の他に 建築基準法で定められた中央管理室がその役割を担って良いことになっている為、中央管理室防災センター)と 室名が重複して表示されている場所もございます。】

では、私共の業務に関連している中央管理室の設置基準とはどのようなものなのか、

そちらについては建築基準法施行令第20条の2第2号に記述がございましたので、ご紹介させていただきます。

中央管理室の設置基準について

まず、中央管理室を設置しなければならない対象は

①非常用のエレベーターを設置している建築物

②床面積が1000㎡を超える地下街

③それらに供する空気調和設備(機械換気設備)および、排煙設備

高さ31mを超える建築物には非常用のエレベーターの設置義務があります。その非常用のエレベーターについては、避難階又はその直上・直下階の乗降ロビー及び、中央管理室において操作出来なければなりません。また、3階建以上の建築物で非常用の進入口を設けることが出来ない等の場合でも、代替措置として非常用のエレベーターを設ける場合がございます。従って、中央管理室が設置されているのは必ずしも高層建築物、または規模が大きな建築物に限定された話ではございません。また、床面積が1000㎡を超える地下街も中央管理室の設置義務が発生します。

では、非常用のエレベーターの設置基準や構造等をご説明致します。

【非常用の昇降機(エレベーター)の設置及びその構造】

建築基準法施行令 第129条の13の3

法第34条第2項の規定による非常用の昇降機はエレベーターとして、その設置基準や構造については第129条の4~10までの規定によるほか、この条項に定めるところでなければならない。

2 前項の非常用の昇降機(以下非常用エレベーター)の数は、高さが31mを超える階の床面積が最大になる階における床面積に応じて下記のように記す数以上として、2以上の非常用エレベーターを設置する場合には、避難上及び、消火上の観点からも有効な間隔を保った状態で設置をしなければならない。

・高さが31mを超える階の床面積が最大になる階における床面積において、1,500㎡以下の場合の非常用エレベーターの数は【1台】

・高さが31mを超える階の床面積が最大になる階における床面積において、1,500㎡以上の場合の非常用エレベーターの数は1,500㎡以下の場合の非常用エレベーターの数【1台】に加え、3,000㎡以内を超えるごとに【1台】づつ増やす

(6) 予備電源を有する照明設備(非常用の照明装置)を設ける。

(7) 非常用エレベーターの床面積は、1台につき10㎡以上とする。

(8) 屋内消火栓や連結送水管の放水口、非常用コンセント設備等の消火設備を設置出来るものとする。

(9) 乗降ロビーには見やすい形で積載量や最大定員のほかに非常用エレベーターであることを明記している標識を設置する。また、避難階における避難経路、その他避難上必要な事項を 明記した標識も合わせて設置する。尚、非常事においてその旨(標識等)を明示できる表示灯その他、これに類する設備を設ける。

4 非常用エレベーターの昇降路には、非常用エレベーター2基以内ごとに、乗降ロビーに通じている出入り口及び機械械室に通じている鋼索、電線、その他のものの周囲を除き、かつ耐火構造の床及び耐火壁で囲まなければならない。

5 避難階においては、非常用エレベーターの昇降路出入口(第3項に規定する構造の乗降ロビーを設けた場合は、その出入り口)から屋外への出口(道又は道に通じている幅員(道幅)4m以上の通路、空き地その他にこれらに類するものに接している部分に限定)の一に至る歩行距離は30m以下としなければならない。

6 非常用エレベーターのかご及びその出入り口の寸法並びにかごの積載量については、国土交通省が指定する日本工業規格(JIS)が定める数値以上でなければならない。

7 非常用エレベーターには有事の際にかごを呼び戻す装置(各階並びに、非常用エレベーター内に設置されている通常時に使用する制御装置の機能を停止させて、かごを避難階またはその直上・直下の階に呼び戻す装置のこと)を設け、かつ、当装置の作動には、避難階又はその直上・直下の階の乗降ロビー及び中央管理室において操作出来るものでなければならない。

8 非常用エレベーターには、有事に際して使用を目的とする電話装置を設けなければならない。(中央管理室とやりとりを行う為)

つづきまして、換気設備の技術的基準をご説明致します。

【換気設備の技術的基準】

建築基準法施行令 第20条の2

法第34条第2項に規定される建築物または各構え(外壁や門等)の面積の合計が1,000㎡を超える地下街に設ける機械換気設備(一の居室やその他の建築物のみに係わるものは除く)及び、中央管理方式の空気調和設備の制御及び作動状態の監視については該当建築物・同一敷地内の他の建築物又は、一団地内にある他の建築物内にある管理事務所、守衛所、その他常時該当建築物を管理する方が、勤務する場所で、避難階又はその頂上・直下の階に設けたもの(以下「中央管理室」という)において行うことが出来るものであること。

最後に、排煙設備の技術的基準をご説明致します。

【排煙設備の技術的基準】(構造)

建築基準法施行令 第126条の3

11 法第34条第2項に規定する建築物又は各構え(外壁や門等)の床面積合計が1,000㎡を超える地下街に設置されている排煙設備の制御及び作動状況の監視については、中央管理室において行うことが出来るものとする。

以上が中央管理室の設置についての基準となります。

防災センターの設置基準について

消防法施行規則第12条8

高層階を有する建築物、大規模な建築物、その他の防火対象物の中で、次のイ~ハに揚げるいるものに設置されている屋内消火栓設備には、当該設備の監視業務、操作業務などを行うことが出来て、かつ、消防庁の長官が定める基準に適合する総合操作盤【総合監視盤】(消防用の設備等、または特殊消防用の設備等の監視、操作等を行うために必要な機能を備えている設備のこと。以下同様)を、消防庁の長官が定める該当する設備を有する防災センター(総合操作盤【総合監視盤】その他に類する機能を備えた設備を有し、防火対象物の消防用の設備等又は、特殊消防用の設備等、その他に類する防災の為の設備を管理する場所。以下同様)、 中央管理室(建築基準法施行令 第20条の2第2号に規定されている中央管理室を指す)、守衛室やその他これらに類する場所に設けること。

イ 令別表第1(1)項~(16)項までに揚げる防火対象物で、次のいずれかに該当するもの

 (イ)延べ面積が50,000㎡以上の防火対象物であること

 (ロ)地階を除く階数が15階以上で、かつ、延べ面積が30,000㎡以上の防火対象物であること

ロ 延べ面積が1,000㎡以上の地下街であること

ハ 次のいずれかに該当するもの(上記「イ」又は「ハ」に該当するものは除く)の内、消防長または消防署長が火災予防上必要があると認め、指定するもの

 (イ)地階を除いた階数が11階以上で、延べ面積が10,000㎡以上の防火対象物

 (ロ)地階を除いた階数が5階以上で、延べ面積が20,000㎡以上の特定防火対象物

 (ハ)地階の床面積の合計が5,000㎡以上の防火対象物

以上が防災センターの設置についての基準となります。

ちなみに、消防法で防災センターは有事の際、消防隊が安易に出入りできる場所(避難階)に設置することが義務づけられています。(ただし、消防隊等が安易に出入り出来る場所の場合は、避難階の直上・直下に設置も可能です。)こちらに関しては上記でも説明致しましたとおり、中央管理室が防災センターの機能を担っている建築物もある為、中央管理室にも同様のことが言えると考えます。

これらのように、類似用途の居室について呼び名を変えているということは、それぞれ違う役割を担って運用されていることを痛感させられました。



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